Yasuko's Room
元アクシス編集長関康子のデザイン寄稿

プレイスペースいろいろ 関康子

2004/09/02
早いものでもう9月。楽しい夏休みも、もう終わりです。
トライプラスの仕事を始めてから、子どもに関するアレコレが気になる今日この頃ですが、7、8月は特に夏休みシーズンでもあり、子どもたちの遊びの環境が目につきました。そんな中、プレイスペースという視点で興味深い場所やプロジェクトに遭遇しましたので以下、ご紹介しましょう。
・ ソニー エクスプローラサイエンス
お台場のメディアージュ5階にあるソニー・エクスプローラサイエンスは「体験」と「発見」をキーコンセプトとするデジタルサイエンス・ミュージアム。最先端のデジタル技術、身近な科学原理をファンタジックな装置で、遊びながら体験できる仕組みです。会場全体は近未来の宇宙船を思わすようなハイテックなイメージでまとめられており、この異次元空間に身を置くだけでウキウキワクワクしてきます。エクスプローラサイエンス系ではサンフランシスコのミュージアムが有名ですが、サンフランシスコの施設はローテクな工場のような大雑把な造りが魅力的で、ソニーものとは対照的です。機会があれば是非行ってみてください。

さて、ソニー・エクスプローラサイエンスの魅力は施設の斬新さだけでありません。ここでは「デジタル・ドリーム・キッズ実験室」という企画があって、電池や紐といった身の回りにある日常品を使った科学実験や体験教室などのさまざまなイベントが開催されています。専門のインストラクターも居て、この実験には、子どもだけなく大人もはまってしまいます。

日本にはソニーに限らず、世界一の技術力を誇る会社がたくさんあります。そうした技術を応用した「遊びながら勉強ができる」「体験が発見につながる」そんなサイエンスミュージアムやプレイスペースがもっとたくさんできれば、子どもたちの理数離れの拡大もすこしは小さく出来るかも?




・ボーネルンド あそびのせかい
2つ目は横浜みなとみらい地区にこの夏オープンしたボーネルンドの「あそびのせかい」。ボーネルンドは本コラム「8人のクリエイターによる遊びの提案」でもご紹介した世界中の優れたトイを輸入販売している会社です。・・・が一方で、公園や児童施設などの遊び環境作りでも多くの実績をもっています。ここはフラッグシップとなるショップの他に、「KID-O-KID(キドキド)」というプレイコーナー、英会話教室などが開かれるクラスルームが併設された室内プレイランドで、「こころ・頭・からだがあそぶ」をモットーとした新しい遊び場のかたちが具現化されています。特にキドキドは、デンマークで研究開発された新体育理論をベースとするさまざまな大型遊具がレイアウトされており、遊びのインストラクターが見守る中、子どもたちは何の気兼ねもなく心、頭、体を使いながら思いっきり遊ぶことができます。スペース全体が赤、黄、緑といったビビッドな色使いでデザインされており、子どもの遊びたい気持ちを大いに盛り上げています。

ここで注目すべきは、そのオペレーションです。遊びのインストラクターを配することで、子どもたちは次々に新しい遊びを発見するチャンスを与えられ、遊びの可能性を広げならが、満足感を味わうことができるのです。





・ OZONE 建築家が提案するキッズコーナー展
近年恒例となっている新宿OZONEの企画「おやこでたのしむOZONEのなつやすみ」では、複数の企画がある中、リビングデザインギャラリーの「建築家が提案するキッズコーナー」展は、興味深い提案がありました。本展は展覧会といっても、実際はプレイコーナーのように遊ぶこともできる仕掛けになっており、会場全体は、ダンボールを使ったオブジェ(ランドスケープのようであり、都市空間の一部のようでもあり・・・)が組み立てられていて、そこにBRIO社(スウェーデン)の木製レールウェイのトイが配置されていました。壁の一部が黒板になっており、子どもたちの「落書きしたい気持ち」が思いっきり発散できるような会場デザインです。「子どもは日々成長していて、興味の対象もどんどん変わっていく。だから、ダンボールのような手軽でラフな素材を使って、親子でプレイスペースを作ったり改造したりする・・・そんな遊び方や場所があっても良いのではないか」。相澤久美さんと遠藤幹子さんによる会場デザインは、そんな提案をしたいのではないかと感じました。

さて、ソニーエクスプローラサイエンス、ボーネルンドのあそびのせかい、OZONEの展覧会と、その目的や環境デザインの方向性は三者三様ですが、共通点といえば「人的オペレーション」ということでしょうか。玩具や公園がなくても、いくらでも楽しい遊び方はあるわけです。でも、「遊びの芽」に気付き、「遊びの可能性」を育てていくためには、ある程度の遊びに対する基本知識が必要です。多分1960年代くらいまでは、さまざまな年代の子どもたちが一緒に遊びながら、遊びの基礎知識が伝授され、遊びの知恵が継承されていたのでしょう。けれどもそのつながりがなくなってしまった今では、遊びの動機付けは、やはり親やインストラクターなど「人」が介在することが不可欠なのでしょう。

●ソニー・エクスプローラサイエンス
●ボーネルンドあそびのせかい  横浜市西区みなとみらい4-6-5 リーフみなとみらい3階
 電話:045-650-1231 
 ※キドキドは有料、現地での予約制です。 

●「建築家が提案するキッズコーナー」展  ※8月31日で終了しています。