DESIGN TODAY
世界の最新デザイン事情

ベルリンのクリエイターたち part Ⅰ
Yuna Yagi

2008/12/16
ファッションといえばベルリン?いや、ファッションといえば、パリ、ロンドン、ミラノ、ニューヨーク、東京というのが妥当だろう。けれどもここ数年、ベルリンのファッションシーンは急成長を遂げ、その勢いはとどまることを知らない。







KONK オーナー
Ettina Berrios-Negron
エティナ・ベリオス-ネグロン


*デザイナー主体のファッションシーン

2003年に始まった「ベルリン ファッション トレードショー」では、4万人の来客が世界中から集まった。産業としての盛り上がりに応えるように、著名デザイナーが拠点をベルリンに移す流れも出てきており、2006年には元アディダスのクリエイティブディレクターや、JOOP!もまた、アントワープからその拠点をベルリンに移した。ロンドンのヴィヴィアン・ウェストウッドはベルリン芸術大学で教鞭を執りつつ、先日、09年春夏のヴィヴィアン・ウェストウッド・アングロマニアのコレクションを、ベルリンで発表した。世界的に有名なブランドがベルリンでショーをするとあって、セレブリティが多数集まり、ベルリン・コレクションが世界で更なる注目を集めるきっかけとなった。一方、ベルリンのファッションを盛り上げてきた若手デザイナーは、ベルリンのアートシーンに影響を受けながら、自由なクリエーションを行っている。独特な色彩が印象的で、美術館が集まるエリアの屋外でショーをおこなったC-Neon、アートとファッションの境界をなくした作品で、マルタン ・マルジェラと協同したり、エキシビションの参加も多いBLESS、ヘルムート・ラングに師事し、パリやミラノでコレクションを展開しているコスタス・ムルクディスを始め、ベルリンを拠点に活動する若手デザイナーたちは着実に名を挙げ、世界で活躍を始めている。まだまだ歴史も浅く、細部の未熟さも残るファッションウィークではあるが、若いデザイナーのパワーがベルリンのファッションシーンそのものと言っても過言ではない。


*地元に根付く、若いデザイナー

作り手は世界で活躍をしているものの、受け手にかんしていうと、まだまだファッションはベルリンには根付いていないというのが現状。とくに、まだ無名な若手デザイナーは、ブランド名を重視する一般のドイツ人消費者には売りにくいという。そんな現状を打破すべく、デザイン性、素材、ディテール、のクォリティも十分な若手デザイナーの作品をいろんな人に知ってもらおうというコンセプトで、2003年にオープンしたセレクトショップ、KONKが誕生。(http://www.konk-berlin.de/)
元ファッションデザイナーのエティナが始めたこの店では、厳選されたベルリンデザイナーの洋服だけを取り扱っている。ミッテ地区のギャラリーが集まるエリアにあって、オシャレなベルリナーに注目されているだけではなく、北欧やロンドンから噂を聞いた客が週末に訪れ、その独自のセンスに魅せられる顧客も多い。


*アートと日常生活から生まれる自由なファッション

エティナはファッションだけではなく、グラフィックやインテリアにもこだわりを見せる。地元で活動するアーティストや家具デザイナーなどとコラボレーションし、一般的に言われる『ベルリン スタイル』とはひと味もふた味も違う、KONK特有の洗練された透明感のある空間を創りだしている。その空間に置かれる服はまるでギャラリーに展示されるアート作品のように、その存在感を際立たせている。『アートが盛んなベルリンでは、デザイナーにとって色んな刺激があって、それをファッションに落とし込んで表現する。広々とした空間は安く手に入ることもあって、失敗を恐れずに自由に制作活動が出来る場所と寛大さがこの街と人々にはある。』とベルリンで生まれ育った彼女は静かに、そして自信を持って語ってくれた。

アイディアを交換したりコラボレーションする事で、豊かな新しい表現をベルリンにいるデザイナー達は見つけているようだ。KONKは洋服のセレクトショップという、「もの」だけではなく、アーティストやデザイナーの斬新な「アイディア」の発信地になっている。

この世界観は実は日本でも体験できる。いち早くベルリンの若手デザイナーに注目したアッシュ・ペー・フランスは、KONKのコンセプトとインテリアを再現したWut Berlin店をパルコ渋谷にオープンしている。今年から表参道に移店。

そんなKONKの持つデザイナーやアーティストのネットワークを介して、これから数回に渡ってベルリンデザイナー/アーティストを紹介していこうと思う。


Portrait photograph by Fergus Padel (http://www.ferguspadel.de/)
Furniture by Rainer Rainer Spehl (http://www.rainerspehl.com)
Art by Alexander Wagner (http://www.alexwagner.net)