DESIGN TODAY
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瀬戸内の自然と共存する「直島・地中美術館」

2008/08/27


深い山と静かな海がいっぺんに見えるところ。
福武信子名誉館長のおっしゃるとおり、島の自然豊かな中にこの美術館がある。
香川県高松からフェリーで50分のところにある直島は、いまやアートやデザインのあふれる島となり、年々増え続ける来島者で賑わいをみせている。
海風が心地よく、島にいるのだという実感が湧いてくる。


Entrance & Water lily
Photo: 淑 - yoshi -


Exterior
Photo: FUJITSUKA Mitsumasa
チケットセンターから美術館までの道のりに「地中の庭」がある。
当館に展示されている「睡蓮」の作者、クロード・モネの愛したジヴェルニーの庭を再現した約200種の草花が広がっていて美しく、来館者の心を弾ませる。

美術館館長である福武總一郎氏は「1000年後にも残るものを」と考え、自然との交歓をもたらすアートを発信させるべく、作品にウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレル、クロード・モネを用い、そのための空間設計に建築家、安藤忠雄を起用した。

ユニークなユニフォームを纏った美術館スタッフに導かれながら地下2階3階へとおりていくと、アーティスト別に部屋が分かれていて、三者それぞれの作品が展示されている。
地中ということもあり、地上から降り注ぐ自然の芸術ともいえる「光」を意識する。
特にクロード・モネ室では、展示物に加えてやわらかい光に包まれた空間全体をも作品とみなしている。そんな静寂の中にいると、研澄まされた不思議な感覚に陥る。

展示以外にも、「地中スクール」や「地中トーク」といった地中プログラムを定期的に開催している。

美しい作品とそれを魅せる絶妙な空間設計。五感をフル稼働させ、全身で楽しめる美術館である。作品とその空間の魅力を実際に足を運んで感じていただきたい。


【地中美術館】
香川県香川郡直島町3449-1
http://www.chichu.jp/

2004年7月18日にオープン。
開 館:3月1日 – 9月30日 10:00 – 18:00(入館は17時まで)
    10月1日 – 2月末日 10:00 – 17:00(入館は16時まで)
休館日:月曜、12月30日 – 1月2日、2009年1月13日-19日
入館料:2,000円、15歳以下無料

○クロード・モネ
「睡蓮」ほか、全4点を展示。
地中のスペースでありながら、自然光のみでモネの絵画4点を鑑賞することができる。
部屋のサイズ、デザイン、素材は、モネの絵と空間を一体にするために選定された。
床:大理石(ビアンコカラーラ、モザイク:各20×20×20mm)

○ウォルター・デ・マリア
「タイム/タイムレス/ノー・タイム」
空間に直径2.2mの球体と27本の金箔をほどこした木製の立体を配置し、空間構成した。作品スペースが東西に向いているため、日の出から日没の間、作品の表情が刻々と変化ししていく。

○ジェームズ・タレル
「アフラム、ペール・ブルー」ほか、全3点。
光そのものをアートとして提示するため、それを正確に体験するためのスペースの形態やサイズは作者自らによって設計されている。

○安藤忠雄
安藤忠雄の建築を構成する主な素材は、コンクリート、鉄、ガラス、木である。その4つの素材を使用し、デザインを極限まで切りつめて設計されたこの美術館の外観は、地上にわずかに見える構造体のコンクリートの輪郭だけである。
地中だけで構造体を構築するという、非モニュメンタルでいて、建築的という相反する意味を両立させている。