人間、この愛おしい生き物
2008/02/12

南極点Mummにて乾杯

歩行中の写真
新しい時代の英雄は毛むくじゃらで筋肉隆々ではないのだ。それが僕を感動させた。
続さんもそんな華奢な女性である。もちろん脚の筋肉はいい加減ではない。2ヶ月厳寒の地を歩き続けるのだから当然だろう。
そんな彼女はよく怪我をする。おっちょこちょいなのだ。銀座のバーで階段から滑り落ちて擦りむいたり、流鏑馬で馬から落ちて骨折したり、昨年秋には山で滑落してヘリコプターで救出されている。
南極に出かける直前、銀座にあるロテスリー・レカンのバーカウンターでシャンパンを飲みながら僕はこんな話をしたのである。僕は心配だよ、南極にはクレパスだってあるでしょ?おっちょこちょいじゃ危ないよ。大丈夫かな〜、と。
突然,彼女は涙をぽろぽろ流して泣き出した。
そんな姿は始めてである。ふざけたり人を笑わせたり・・・・その彼女が泣き出して洗面所へ駆け込んでしまったのである。
「お願いだから・・・お願いだからそんなこと言わないで!私だって怖くてしょうがないの。そんなこと思うと本当に死んじゃう」。帰って来て彼女はこういうのである。
スッキリと痩せて彼女は帰って来た。穏やかな笑顔でどんな苦難を乗り越えて来たかなにも感じさせない。痩せたせいかきりっとして威厳がでたように思うのだが、会えば相変わらずのお茶目な続である。
途中,何度も泣いたのだそうだ。どうしてこんなこと自分はしているのだろうと,泣きながら重いそりを引いて真っ平らで、白い色一色で、太陽が自分の廻りをぐるぐる回っている時間のない南極大陸を歩き続けた。
予定に遅れて途中から1日を30時間にして睡眠を取り食事をして短縮したという。何を思い、何を考えて孤独な日々をすごしていたか,その内ゆっくり聞きたいと思う。
人は寂しいからこんな冒険に挑戦する。自然との戦いほど純粋ではないが、この混沌とした社会での冒険だって寂しさからなのだろう。
この宇宙に奇跡としてある生命のもう一つの姿が見えた気がする。
寂しさはよろこびより先にあるのだろう。よろこびより寂しさの方が人間の本質なのだと思う。
続さん、お疲れさま!





