DESIGN TODAY
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【moss linkage produce “43dept.” ~22人のデザイナーによる2008年ダイアリー】企業インタビュー~前篇~
ミウラアヤ

2007/12/11


「毎日食べるモノを北海道産に切り替えようというムーブメントがあるのに、どうして、北海道産クリエイティブ、北海道産デザインは、ノーマークになりがちなのだろう」。














北海道に生活する人間から生まれた疑問が、「moss linkage」(モスリンケージ)というひとつのプロジェクトになろうとしている。北海道のクリエイターと北海道の企業をつなげるwebサイトとして11月1日よりサービスが開始される。地域性や地産地消を掲げ、北海道産のクリエイターを広く深く紹介し、地産クリエイティブの可能性を提案しようという取り組みだ。システムとしては、モスリンケージ事務局が制作物受注仲介・コーディネートを行い、地産デザインに賛同する企業や個人事業主を探し、「地産デザインの認知」から「制作物の受注」を目指す。

第一弾企画は「22名のデザイナーによる4月はじまりの2008年ダイアリー」。その制作において、手帳カバーの素材協力を行うのは、山内ビニール加工株式会社(本社:北海道旭川市)だ。同社は、2007年度グッドデザイン賞を受賞した「さくらシート」の商品化を実現させた影の立役者でもある。その札幌支社で、手帳の製造過程を拝見しながら、「moss linkage」を通して企業の姿勢を取材した。

まずは、今回の手帳カバーがどのような過程を経て製造されているのかを見せて戴いた。モスリンケージ事務局の猪熊梨恵氏に同行しての工場見学である。誰もが一度は手にしたことはあるはずだが、加工過程まではおそらく知るまい。実は、ほとんどがマンパワーによるものなのである。

1、ロール状になっているビニールを巻き取る
   ↓
2、一メートル四方に裁断、素材の収縮を落ち着かせる(2~3日間)
   ↓
3、型押しや箔押しの作業
   ↓
4、型取りを行って完成

書いてしまえば簡単だが、この全工程に人間が関わり、手作業でサイズ調整(サイズ型は1000種以上)をし、機械操作を行うという、びっくりするような光景だ。2の空白期間を設けることで、ビニールのひきつりを抑えることができる。また、3の工程では型押しか箔押しかによって当然作業内容が異なるが、参加デザイナー22名の多くが型押しによるデザインを採用している。ちなみに、箔押しはおよそ140度の熱によって一枚一枚、デザインが施され、皮革製品のような質感さえ湛える。各作業台の脇には、色とりどりのビニールが鮮やかに積まれ、型押しや箔押しの順番を待っていた。

この一連の作業を、わずか10名ほどの従業員が行うのである。企業のビジネスダイアリー製造のピークは9月~11月、一社平均5000部の制作となり、ひと種類につき約4週間はかかるのが基本。
「この時期に22パターンものデザインがあって、2週間で納品というのは正直、きついですけど」
と山内氏は親しみのある苦笑いを覗かせた。

手帳をひとつ制作していくのだって大変なのに、22パターンも…。だいたい、企画から完成までおよそ2ヶ月という短いスケジュールのなかで、22人のデザイナーからデザインをもらうのだって、かなりの骨が折れるものである。しかしながらぎりぎりの予算と繁忙期に、製造と加工に関わることを決めた企業の考えは何だったのか。
(後篇へ続く)


moss linkage
http://www.mosslinkage.com

山内ビニール加工株式会社
http://www.yvp.co.jp/