SALONE ARCHIVES in Milan
黒川雅之のサローネ情報

黒川雅之のサローネ情報2007 vol.8
トヨタ自動車

2007/04/20
レクサスを見せる。これが目的のデモンストレーションである。昨年は吉岡徳仁の鮮烈な表現。しかもトヨタ×トクジンという姿勢があるからレクサスとトクジンの椅子が対峙しながらいい効果を上げていたのを思い出す。

今年はその表現の構想と構造が見えにくい。
建築家とトヨタの企画グループが一つとなって表現を検討して見せようとしているのだが理屈が空回りしている。
トクジンのレクサスをトクジンが覆い尽くすことで見えていたレクサスの居場所が今年の展示では「レクサスの魅力をどう表現するか」という真面目な命題のままに真面目に構想されている。だから構造は「現実と虚構」を背景に<CGアートという作品とレクサスという作品>を展示しているという明確な普通の展示の構造に陥っている。多分建築家の担当したのはこの「現実と虚構」という会場の「地」のデザインだったのだろう。その「地」に「図」としてCGとレクサスが描かれているだけである。

現実から突然に会場に入って来た僕には会場の中は虚構だけでいい。会場に入って再び「現実と虚構」を地上1600ミリのところで分けて表現されてもそのようには観客を引きずり込めない。これならいっそ,レクサスをなくした方がいい。CGだけをシルバーの素材と絡めて空間だけがそこにあるようにすればいい。昨年のトクジンの表現はレクサスを消すことでレクサスを見せていた。今度はレクサスをステージに上げて結局はレクサスが見えていない。
トクジンの「隠して見せる裏技」だけが記憶として見えてくる。

今年の展示は結局,気づくと「昨年のトクジンの手口の凄さを見せる」ための展示だったように思える。皮肉である。