SALONE ARCHIVES in Milan
黒川雅之のサローネ情報

黒川雅之のサローネ情報2007 vol.7
サテリテの若者たち

2007/04/20
サテリテをくまなく歩く。単にこの「サローネ報告」のためだけではなく、7月に開催される銀座松屋のデザインギャラリーでの「デザイナーズ・カタログ」への招待デザイナーを捜すためでもある。これからの若手のデザイナーを発見して背中を押すことを目指したこの展覧会は「未熟だけれど将来性のあるデザイナー」を発見することが最重要だからである。この展覧会で選んだデザイナーたちのほとんどがその後、期待通りに活躍している。
サローネのこのサテリテはデザイナーズ・カタログの目指すところと同じで若手にチャンスを与えようと企画されていて多くの世界の若者がここで作品を展示している。目的は色々、遊び感覚の人々もいれば、単なる展覧会だと捉えている連中もいる。僕が期待するのはそんな連中ではない。期待するのは必死に製品化のチャンスを探している若者たちである。アイディアはあるが製品化のチャンスがない,その現状を打破しようと集まって来た若者たちの熱は気持ちがいい。
デザインの哀しさはこの机上のアイディアに終わる可能性をいつも持っていることである。本来,ものづくりは<本当にものをつくる作業>だったのに、分業によって近代以後には<描く人、企てる人>としてデザイナーが現われて,職人の<ものと交流してつくる>魂をなくしている。デザイナーの悲哀の根本はそこにある。
それに気づいた人たちが自分で製品化していくことになる。でもそれは誰にでもできることではない。

このサテリテはそんな若者たちの情熱のるつぼなのだが,今年は会場もきれいになって二年目。若者たちもゆったりと、あの、かつての飢えたような熱は持っていないように思う。それが不満ではある。

馬鹿にならない会場費を準備して頑張っている連中を見ると毎年,ここへ脚を運ぶことになる。