Kという新会社のロゴマーク

2007/05/25
株式会社Kという名称には深い訳がある。もちろんKUROKAWAのKなのだが単にそこから来たのではない。普通は会社名が先に決まってロゴマークは後でつくるのだがここではその経緯が逆になっている。
ロゴマークが先にあり、そこからこの会社名が生まれた。
このロゴマークは丁度40年前に石岡瑛子さんがデザインしたものである。僕が建築事務所を起こしたときに会社のステーショナリーの全部を石岡さんにお願いした。その時のロゴマークなのである。

石岡瑛子さんはアメリカではトム・クルーズも会って感激する女性である。いや、これは石岡さんに聞いた一寸したエピソードからの話しであってウソではない。
石岡さんは、今はニューヨークを拠点に世界中で活躍しているアーティストなのだが、元はグラフィックデザイナーやアートディレクターとして当時は資生堂やパルコなどのコマーシャルで世を湧かせた人である。今はフランシス・コッポラ監督のドラキュラという映画のコスチュームのデザインでアカデミー賞をとった人と言った方がいいだろう。その後もいろいろ,映画の世界などで活躍している。だからトム・クルーズの話しにつながってくる。

その石岡さんのつくってくれたロゴタイプもこのところ20年ぐらいお蔵入りをしていた。新しいステーショナリーをつくろうとした時に石岡さんは「私はもうグラフィックやめたから誰かに頼んだら・・・・?」と断られてしまったのである。
後を引き受けてくれたのが松永真さんだった。彼にはその後、いろいろなポスターやロゴタイプをお願いしているのだが、彼はその時、ロゴタイプまで変えてしまったのである。デザイナーが人のつくったロゴタイプを使ってステーショナリーをつくるのは当然よくあることなのだが、彼の心の中にはきっと石岡さんへのライバル意識があったのかも知れない。
こうして、僕は新しいロゴタイプを手にいれたのである。このロゴタイプはMとKの組み合わせで出来てるが、さっと見たところ「一本足りない」ところが気に入っている。猿は人より毛が三本足りないそうだけれど、僕は人一本だけ足りなくてもう少しで人間になれるところがいい。

こうして、Kのロゴタイプはお蔵になった。ず~っと気になっていた。いつかなにかに使おうと思っていた。そのチャンスが来たのである。
僕は迷わず会社の名前をKとして,ロゴタイプをそのまま使うことにした。石岡さんには許可を得ていないけれど僕はそう決めたのである。
再び出会って、再び初心も戻って、こうして新しい会社に出発点の想いが込められるのが嬉しくてたまらない。

【石岡瑛子さん(左)と松永真さん(右)がデザインしたKのロゴタイプ】