Kという会社

2007/05/16
シンプルに自分のイニシアルをそのままにした株式会社Kを設立した。これはいわば自分の仕事の総括だと思っている。
デザインは物をつくるためにする行為なのだが,それがなかなか実現しない。デザイナーは物というメディアで語る語り部であったり小説家であったり哲学者なのだが,スケッチや図面やモデルだけで終わってしまっては表現できないのと同じである。
普通、デザイナーは企業から依頼されてデザインするからいろいろ変更されてしまうことはあってもとにかく実現する。違うんだよな…とか思ったとしても、とにかく歌手なら歌が歌えたことになる。
しかし、僕の場合はそうはいかない。それはこの長い間、企業から依頼されてデザインすることがさほど多くなく、主な仕事の仕方が「自分の思うものをデザインして製品化する企業を探して実現する」やり方をしてきたからである。
この方法は、「建築事務所」と称していたからプロダクトのデザイン依頼がない、ということから始まったのだが、その内に依頼されてデザインすることより自分の好きなものをデザインしていた方が面白い、ということになってそのやり方に徹して来たからである。そのために僕のデザン料収入は一時金ではなくデザインの意匠権などに対して支払われるロイヤリティーという「売り上げに応じて支払われるデザイン料」がほとんどになっている。この制度は売れれば沢山のデザイン料になり、売れなければ僅かなデザイン料に甘んじなくてはならないという合理性がある。
そういうやり方だとアイディアがいつも実現するとは言えないことになる。いくつかのデザイン、アイディアが今でも引き出しの中にたまっている。

もう30年も前から、イッセイミヤケはデザイナーなのに自分のブランドを自分で販売するのが当たり前なのだから、プロダクトデザイナーでもそれは出来る筈だと考えて来た。それがやっと可能になりそうなのである。難しかった最大の理由は「プロダクトデザイナーには発売元であり,メーカーとなることが難しい」ことであり、もう一つは「プロダクトデザインはファッションのようには毎年何回かの新製品をだせない」ということに思えていた。毎年新製品を発表してこそ顧客がリピートしてくれるのである。
その最大の問題点が解消できる仕組が出来た。
そこでやっと、なんとか株式会社Kが生まれたのである。本格的活動は今年9月からなのだがこれで僕のKシステムと称する仕組はKデザインという<デザインとプロデュース>と株式会社Kという<製造と販売>の組織とそして、デザイントープという<情報>の会社と物学研究会という<交流組織>の総合的なシステムになる。