死のこと
友人からの返信

2007/03/06
友人から返信があった。以下、本人の許可を得て掲載します。

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まあ、勝手に決めつけないで。
年よりだけが特権的に死を語れるわけでも、死と向かい合って
いるわけでもない。

ブログ読みました。
「今日は死ぬのにもってこいの日」あれは私が黒川さんに紹介した本だね。ずいぶん前のことになるけれど。
他の人はどうかしらないけれど。
子供を産む、っていうことは自分の死について考えるし、
子供が産まれないことについて考える。
痛みのなかでは死について考えない。
生きているという実感がものすごくある。
痛みが遠ざかるとき、死ぬかもしれないと思った。
だったら死ぬ前に産まなければ。そう思ったら産まれた。

人は、幸福の絶頂でものすごい恐怖を味わうんだよ。

私が病院を退院した日、「あなたとは一生お友達でいたい」と私に言った人が60歳で亡くなっていたことを知った。
いちばんあかちゃんを見せたいと思っていた人。
わたしは、いまだにもういないということがわからない。

わたしはいま、自分にあと何年あるか考えるよ。
毎日考えている。
わたしも15年かもしれないし明日かもしれない。
あと50年あるかもしれない、とそう思ってもいやされない。

人はひとりで人じゃないんだ。
わたしという意識はわたし一人に所属しているようだけど。
そのなかからわたしとまじりあった生き物が出てきて私より長く生きる。
それは別のものであって同じもの。
だから、いまのわたしを空しさからとどめているのは、
もっとたくさん産もうという思いです。
たくさん産めば、そこにわたしがのりうつって、ここに残れる。

赤ん坊であっても死ぬことを恐れるんだよ。
夜のくらさを恐れ、死をおそれる。
眠りにつくことをいやがり、光に安堵する。

「千の風になって」という詩が話題になっているそうです。
自分はここにあるほかの人々や生き物や草花の生とつながっていると考えることによって、死の悲しみがいやされるというのです。
そこにある死生観は、「死んでも思い出のなかに残る」というような近代的自我に固執した考え方ではない。
なぜならそれはネイティブアメリカンの死生観を表現したものだからだというのです。

死の悲しみをいやすのは、自分もまた死ぬのだということを受け入れることだけでしょう。
でもそれこそが一番むずかしい。

小児がんをわずらった5歳くらいの男の子が、自分が死ぬということを聞いて、母親に「弟か妹がほしい」と頼んだそうです。
そして母親は妊娠した。
子供の病気は着実に進行し、最後は治療のために、口がきけなくなってしまうことがわかった。
そこで母親は子供に「愛してるよ」と声をかけると、子供は最後の声で「オレも」とつぶやいた。
そして、やがて自分の兄弟が産まれるまえにこの世を去った。
その母親が言っていました。
「『あいしてるよ』と声をかけたら「オレも」と答えてくれる、
そんな目もくらむような幸せを味あわせてくれてほんとうにありがとうと言いたい」と。
そしてあかちゃんが産まれたそうです。

早くに死んでしまう子供がいるのは、何かをこの世に伝えるためなんだそうです。
産まれて3歳くらいまで、子供には胎内記憶というのがあるというのを調べている医者がいるそうですが、そういうことを言った子供がいたそうです。

その母親が言っていた
「目もくらむような幸せをくれてありがとう」
という言葉に、わたしは命のほんとうの喜びと悲しみを感じます。
死んでいく子供に与えられる喜び、教えられる幸せ。
その喜びをあじわうことの苦しみと悲しみ。

死について考えるのに、特権などないのです。
死は誰にでも平等にある。
いまのあなたは、その5歳の子供よりもずっと死から遠いところにいるんだよ。
まるで、眠るのがこわいと泣きわめく赤子のように。
あなたのブログを読んでいて、感じたことです。


以下、「千の風になって」の内容です。
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私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています

秋には光になって 畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
夜は星になって あなたを見守る

私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 死んでなんかいません
千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています

千の風に
千の風になって
あの大きな空を
吹きわたっています

あの大きな空を
吹きわたっています

Do not stand at my grave and weep,
I am not there, I do not sleep.
I am in a thousand winds that blow,
I am the softly falling snow.
I am the gentle showers of rain,
I am the fields of ripening grain.
I am in the morning hush,
I am in the graceful rush
Of beautiful birds in circling flight,
I am the starshine of the night.
I am in the flowers that bloom,
I am in a quiet room.
I am in the birds that sing,
I am in each lovely thing.
Do not stand at my grave and cry,
I am not there. I do not die.
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(参考)
原本はこのサイトをご覧ください
http://www.twin.ne.jp/~m_nacht/