DESIGN TODAY
世界の最新デザイン事情

「江戸意匠」MEISTER MEETS DESIGNER Vol.1
by 黒川雅之

2007/04/03
江戸の職人たちをデザイナーと出会わせて現代のものづくりをしようという企てが 菅野傑さんの手で行われた。ここではその結果だけが並んでいたのだがきっとこの背後に職人とデザイナーの衝突と和合があったのであろう。
問題はこれからこれらがどう社会に販売された産業として芽吹いていくかなのだが,そのまさに最初の一歩が始まったのである。
職人は素材との会話を通じてものづくりをする。デザイナーはものからちょっと遠ざからざるを得ず、むしろ市場や文化の方をみて仕事をする。この二つの目線がどう一つのものにまとまるのかが面白いのである。

僕は今,金沢市からの依頼で金沢(石川県)の職人の力を借りて世界の市場にその文化と産業を主張し,届けていくことを考えている。僕の場合は<デザイナー>をできるだけ排除して、職人の仕事をプロデュースすることで世界の市場に届かせたいと考えている。それを「再編集」といっている。

要するに職人の仕事を睨みながら僕自身が編集長のようにそれぞれの作品を口だけで再構成してものをつくりあげようと言うのである。

まだこれからなので何とも分からないが、これまでの職人とデザイナーとのコラボレーションの難しさから心配が多い。

菅野傑くんの先を見たプロデュースの手腕を期待したい。

もう一つの面白さは地域の職人の技術を江戸に見つけたことである。江戸は立派に地方であり、この超高層のちまたに埋もれて生息する職人技術を取り上げ、光のあるところへ押し出したいものである。

僕のもう一つの現在の活動に、職人思想の復活を掲げて、<ものづくりの人や組織>と組んで<メーカー>をつくろうとする活動を始めている。ここではデザイナーは大きな役割を果たすのだが、<つくり、販売する>メーカーの意志が大切にされる。どんなに優れたデザイナーでも売れないことがはっきりしたときは製造しない。

それともう一つ大切なことは職人の意志を大切にするために価格は職人からの言い値が通るという仕組である。自然に高価な商品となるのだがそこには<いい仕事なら高価でもいい>という考えがある。それとここで言う職人とは人だけではない,組織も新しい概念の職人と考える。

技術と装置をもった<ものづくりの人や組織>と情報の仕掛けをもった新しい会社(工場を持たないメーカー)が一緒に商品づくりをするのである。

この江戸意匠展はまだ先が長い活動だろう。
力を合わせていきたい。



◇「江戸意匠」はギャラリー ル・ベインにて2007年3月20日から3月25日まで開催されました。