DESIGN TODAY
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【上海の街角】レポート
by 鳥内 政良

2007/02/28
黒川雅之率いるk-studioのスタッフは先日, 上海へ社員旅行に行って参りました。とても刺激的で多くのことを感じた旅行となりましたが, その一部をレポートしてみたいと思います。
街なかの洗濯物。日常が垣間見える。
住戸の入り口に貼られた「福倒」。
街並みのコントラスト。
モヤがかかって,より象徴的に見える。
レストランから見た外灘の夜景。
花火。街中でビルの間からバンバン打ち上げられる。
中国の爆竹。子供の頃いたずらに使ったものとは
桁違いの大きさ。
楚州にはもう春が訪れていました。
大崎の自宅を早朝に出発し,眠い目をこすりながら降り立った上海はとても静かでした。テレビでよく観る騒音と雑踏に異国情緒を期待していた自分には多少拍子抜けしてしまった感覚があったのですが, 聞けば中国は旧正月で,都市部からは人が居なくなっているとのこと。誰が言ったのか, 静かな上海を経験できる機会は滅多にないという言葉にひそかに励まされて, 一行の3泊4日の旅が始まったのでした。

初日に歩いた街なかには, いつも同じように干してあるだろう軒先の洗濯物に紛れて,ささやかな正月飾りがここそこに飾られていました。「福」の字が逆さになった飾りが沢山あったのですが, これは"福倒"といい、福が来るという意味で縁起をかつぐ習わしだということです。

外来語には全て, ビルの名前でもマクドナルドでも, なんでも中国語読みの漢字が当てられています。(因みにマックは「麦当労」マィダンラォ)
戦時の日本がそのようにしていたようなナショナリズム的な意味合いではなく, 漢字を楽しみ自国の文化を尊重する気風が草の根までに行き渡っている感じがして, 素直に好感を持ちました。

そんな庶民の生活が息づく場所がある一方, 高層ビルの建設ラッシュの最中にあるのもまた, 上海の姿です。我々も森ビルが建設中の「上海環球金融中心」一帯を見学してきました。地上101階, 高さ492mの超高層ビルで, ちょうど北京オリンピックが開催される2008年に完成予定の建物です。2010年の上海万博など国際的なイベントが軒並み控える中国の勢いや希望, 上昇志向を象徴しているような気がしたのですが, いっぽうの足元には,低層の飲屋街がひしめきあっている一帯が。

高層のレジデンスに住んでいる上流階級の人たちが利用するとは思えないし(偏見かもしれませんが), さしずめ建設現場で働く労働者や観光者の憩いの場となっているのでしょうか。高低差という分かり易いかたちで表象化された街のコントラストが, そのままそこに住まう人々の階級的ヒエラルヒーを反映しているようで, 少し複雑な気持ちをも覚えました。路地裏の美しい街並みの背後に高層マンションが建つ, 東京の月島界隈が思い起こされます。

それらの高層ビル郡にほど近い場所で,外灘(バンド)の夜景を見ながら食事を採ったのですが, 窓から漏れる灯りではなく建物を外から照らす照明による夜景は, 照明一基一基の光の形が無数に点々と見えて,個人的には正直あまり美しく思えませんでした。建物自体の陰影を生かす照明ができれば, きっと劇的に変わるのに。。

ただそんな夜景の演出からも,正月祝いのおびただしい爆竹や花火からも, 体裁や思考を忘れたかのように内側からみなぎるパワーが感じられて, そういうものが上海全体の雰囲気を秩序だてているという感じがしました。不思議な統一感。

このほか東洋のベニスと呼ばれる楚州を巡り,また本場の雑技団を鑑賞したり, 最後の夜にはスタッフ全員マッサージで癒されたりと, いちいち感動し通しの自分には, 初日の最初に感じた拍子抜け感が全く覆されるほどに本当に盛りだくさんの楽しい旅となりました。今回の旅は, 上海paosnetの張少俊さん, 王超鷹さん, 顔士僅さんに大変お世話になりました。感謝に堪えません。
いろいろな人との出会いもまた, 旅の醍醐味です。

以上, レポートをお送りしました。